1999/01/19

渋谷ハローワーク訪問の概要



1. 日時:1998年11月20日(金) 10:00〜11:10

2. ハローワーク対応者:専門援助第2部門 統括職業指導官(障害者担当)

3. にんじん村:3名

4. 説明内容

(1) 障害者職業紹介(東京都内ハローワーク18箇所対応分)

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                              平成5  6    7     8     9
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   有効求職者数は年々増加   7,563  8,818  9,607  10,336  11,120
         うち2種登録者    1,829  2,060  2,218   2,458   2,689
   ----------------------------------------------------------------
    就職件数         2,766  2,621  2,697   2,614   2,704
            うち2種登録者   811    809    783     746     763
   ----------------------------------------------------------------

   (注)2種登録者:知的障害者、精神障害者が該当。
     有効求職者:現在、求職中で登録している人。
      概ね、身体障害者:知的等障害者=8:2

(2) 渋谷ハローワーク対応障害者の態様

  都内全体の約5%の有効求職障害者を受理(555名:平成9年度)
  うち知的障害者:62名

  その他(精神障害者、HIV手帳保有者、神経症・ノイローゼ等):70名(医師の意
  見書又は精神保健手帳を所持している人)

    手帳を有しないLD者、自閉症者等は一般の扱い・区分となる。

  最近は、20才以上になった後、手帳の取得が可能となったので、就職がうまくいか
 ない場合には、手帳を取得するケースが増えている。

(3) 手帳を所持していない人に対する対応

  手帳を所持していなくても職業上の問題がある場合には、一般窓口から障害者窓口に
  回されてくるケースがある。

  このような者は、多くは普通高校の卒業者で学校の授業もついて行かれない点があり、
 何らかの理由により他の人とのコニュニケーションがうまくいかない、自分の意志がう
 まく伝えられない、仕事が遅い、友人関係を作ることができない等の特徴を有している。
  中には本人の困難性について医師の意見書を有している者もいる。

  このような者に対しては、職業適性評価を受けることを勧め、評価を受ける場合には
 池袋の障害者職業センターを紹介する。職業評価を受けた後、障害者として(手帳を取
 得し就労するか、一般人として就労するかを判断している。手帳がなくても必要があれ
 ばセンターによるパソコン等の職業訓練を受けることができる。手帳があれば障害者職
 業訓練校の訓練を受けることができる。

  手帳を取得できそうな人はなるべく取得するように勧めている。手帳をもらうことが
 受容できない人(障害の受容ができない人)もいる。

  企業側も何らかのメリットがないとなかなか採用しない。行政上も手帳の取得者に対
 する方が対応しやすい。

(4) ハローワークのスタッフ

  常勤の窓口担当者:ハローワークで実際の相談を行う。地方事務官として国家公務員
           と同等の身分であるが、都庁の労働部局の下に人事が行われてい
           る。東京都内の労働関係機関の間を人事異動している。
           2〜3年で異動。

  職業相談員:身体障害者担当 1名
        知的障害者担当 1名(月に15日勤務)
        精神障害者担当 1名(週に1日勤務)
        窓口業務ではなく、障害者が就労後その職場に定着するための指導を行
        っている。1ヶ月に1回程度担当障害者を訪問するようにしている。
        世田谷サービス公社等集団で働いているところへの訪問はもう少し頻繁。
        顔見知りの障害者や本人が訪ねてきた場合は窓口対応は行う。
        相談員は、労働行政のOBか、育成会から派遣されて来る人。
        年1〜2回、都内全体から相談員が集まり研修を行う機会がある。
        法律・制度は各ハローワークで勉強する。
        心理学・教育学等を修めた専門家であるとは限らない。
         渋谷では154人の定着に対応しており、1人の担当する者が多い。
        現在は1ヶ月1回が少し無理になっている。渋谷での紹介ではなく、他
        の紹介でも渋谷の管内に就労した場合には、渋谷の担当となる。

(5) LDの認知度

  労働行政の現場では、LDはそれほど知られている状況にはない。(LDという言葉
 ではなく、学習障害という言葉の方が知られている。

   育成会では、ある程度LDを認知している。対人関係、社会性に問題があるというこ
 とは知られているが、本人の個性の範囲なのかどうかの判別は困難。(LDに対する認
 知を拡大していくことは、親の会が努力していく必要があるというご意見。)

(6) 他機関との連携

  地域(池袋)障害者職業センターとは、職業評価及びセンターで実施している職業訓
 練を受けてもらう場合に連携している。

  職業能力開発校(小平):実習訓練の斡旋。(手帳が必要)
 3Kの職種のものは希望者は少ないが、事務系の職種は10〜20倍の希望者が集まっ
 ており、斡旋が困難になっている。

   医師の意見書をもらっている場合には、一般の職業訓練校へ斡旋することもある。
 
(7) 特定求職者雇用助成金の運用状況

 給付期間:通常1年(重度の障害者1年半)
 1年目は、新人として周りに世話をしてもらう期間であるので助成金の活用が有効。
 しかし、2年目は、会社からも少し突き放して実力が試される期間であり、ベースアッ
 プもなされるかも知れないこともあり、職場内でも自立が強く求められる。作業能率が
 上がっていなくても、そのまま雇用している例が多いが、本人の自立が重要。

  助成金のみを当てにして障害者を雇用する企業もあるが、そのような企業は、職業相
 談員がよく接していればわかるので、就労先とはならなくなる。

  助成金の支出は半年ごとに障害者雇用の実績に基づき行われるので、当該雇用障害者
 の助成金が完全に企業に支払われるのは、1年半後となる。

(8) 職場適応訓練の実施状況

  職場適応訓練を実施すると、特定求職者雇用助成金が交付されなくなる。
 職場適応訓練に係る助成金は、特定求職者雇用助成金よりも少ないので、現在、都内で
 同訓練を実施している事例はない。

  池袋のセンターによる職域開発援助訓練は、効果的に実施され、これまで60名弱の
 雇用が実現している。
 
(9) 最近の知的障害者の雇用状況

  1.8%の法定雇用義務の範囲で常用労働者として雇用することの要件は

 {1} 雇用保険に加入していること

 {2} 週30時間以上の労働時間となること(重度障害者については週20〜30時間でも可)

  半年ごとの雇用契約でも常用労働者と見なされる。正社員、臨時雇員、準社員などそ
 の雇用形態は会社により多様である。

  通常は、この他、健康保険も加入している。今年は、雇用契約期間が切れると解雇さ
 れる等会社側の都合で解雇される数が昨年の1.6倍に上っている。

  知的障害者に対する求職件数は今年4〜9月でわずか4件。

  内容は、事務、コンピューター、商品管理等である。特例子会社からの求人が主要な
 ものとなっている。製造現場の求人は少ない。スーパーのパック詰め等の軽作業が少し
 ある。
       
(10) 知的障害者が雇用される条件

  手帳をもっていても、コンピューター、電話対応等の処理能力が高いと定着している。
 良好な人間関係を保てることも大きい。
   
  面接時に、ちゃんと面接者の目を見て話ができないとやはり面接で落ちる。
 あいさつができ、受け答えがある程度できることが必要。

  就労意識の低い者が多い。就労しても、長続きするかどうかが肝心で、これが難しい
 例が多い。
  
(11) その他

  練馬区では、ジョブ・コーチ(職場定着相談員)が設置されている。(渋谷ハロー・
 ワークでは把握していない)

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