1.日時:平成10年9月4日(金) 10:00 〜 11:45
2.センター対応者:Kカウンセラー
にんじん村:5名
3.説明内容
(1) センター設立後の利用者の変遷
昭和47年設立当初 利用者は身体障害者がほとんど
昭和55〜56年頃 知的障害者(手帳保有の)が7割
最近 精神障害者・その他(手帳非保持者)が増加
(2) センターの業務内容
a.障害者援助業務
[1] 職業評価・職業相談
・職業能力・適性等の把握のための心理検査・作業検査:
本人の状況把握
本人の学歴・経歴等では本人の能力がわからない場合に行われる。
[検査内容]
1人のカウンセラーが心理・知能・興味・職業適性検査の実施
手先の器用さ、体・身のこなし、握力、作業遂行能力
社会性(1人で交通機関により移動可能か、他とのコミュニケーション等)
を診る。
ドクターの診断書も考慮
・検査・評価結果を本人・関係機関にフィードバック
↓
・職業リハビリテーション計画:本人の就労に向けての方向付けを行う。
計画作りのための話合いが行われる。本人・家族、福祉事務所・学校・職安等
関係機関の支援者が参加。
本人の実際の能力と本人のもつイメージのギャップを埋めるのがポイント。
[2] 職業準備訓練
・基本的労働習慣体得のための訓練。職業訓練は特定の技能を習得するために行われる
が、この訓練は職業前訓練としして「休まず出勤する」「挨拶ができる」「対人関係
が結べる」「基本作業ができる」等の労働習慣を身につけさせることが目的。
・年4回、1回8週間。1日9:00〜16:00。日常的にはいくつかの作業を通し
て上記習慣を身につけさせるようにしている。また、作業も実際の場になるべく近づ
けて環境設定することとし、訓練グループの名称も東京ワーク・トレーニング社とし
ている。
・労働習慣の他、就職しようとする意義・意識を育てることもポイントとしている。
作業訓練の他、先輩が就職している事業所の見学、障害者を雇用している事業主の講
話等を入れたセミナーの開催、ディスカッション等を行い、働く意欲の喚起に努めて
いる。
・1回の定員15人、うち平均すれば10人が知的障害者、5人が精神障害者・その他
となっている。
・作業は立ったまま行うものが主体。体力の養成も重要。
必ずボールペンの組立作業を8周間のうち4回入れている。1日何本作れるか個々の
訓練生の特性が現れる。午前中作業の早い人、午後調子の出る人、4回の中で徐々に
作業能率が向上する人など様々。
・8週間の訓練後、さらに3週間の事業所における実習訓練が行われる。
[3] 職業講習
・原則として視覚障害者・脳性マヒ者等を対象。年間7期、期間は4週間。
・OA講習:ワープロの入門講習。検定4級を目標
・職業準備講習:「地域の労働市場の現状」「職業人としての心構え」「就職活動の進
め方」等の職業講話。事業所、訓練校等の施設見学。先輩の体験談。
[4] 職域開発援助事業
・実際の職場(事業所)を職業リハビリテーションの場として利用し、職業生活全般に
わたる指導・援助を行うことにより、職業能力の向上を図る。
・対象は1人1人の障害者になる。
・指導援助のため、以下の2種類のパートナーが設置され、
生活支援パートナー(センター職員)が職業生活全般を、技術支援パートナー(事業
所において選任)が作業・技術面を指導する。
・指導期間:1〜5ヶ月(平均2ヶ月) 訓練終了後採用されると雇用援護制度の助成
金(以下「助成金」という)の対象となる。
・通常は引き受けてもらった事業所にそのまま就職することが前提とされているが、他
の事業所に就職する場合もある。
・事業所には月5万9千円支給。本人には無支給。
・労災は援助事業の中でカバー。
・H9 50人が事業による援助を受け、40人が就職。
対象者が多く、待機している障害者が多数。
・対象者と事業所のセッティングは職安が行う。
本人の希望する職種・仕事の中から職安がピックアップし、職安から事業所に声を掛
けて仕組むのが通例。
・期待される事業効果:本人は作業、対人関係に慣れる。
会社は本人について理解が深まる。
就労の円滑化、達成。
・就労後の適応指導が肝心:本人・会社・センターの連携関係の構築・維持。
月曜に休みがちになるなど本人に問題が生じた場合は会社からセンターに連絡が来る。
[5] 重度精神薄弱者判定
雇用援護制度上は、厚生省サイドで設定した療育手帳の判定においてIQ、社会性、
複数の障害の重複の程度等を見て、1〜4級に格付け認定された者がその対象となる
が、1〜4級のレベルがそのまま職業能力に一致するものではないので、同センター
において改めて職業能力上の検査を行い、雇用援護制度上の重度か軽度かを判定する。
雇用義務の1.8%の枠に入るかどうかは療育手帳の交付対象者であることが要件と
なるが、雇用援護制度上の各種助成を受ける上で取扱いが異なる重度か軽度の2段階
の格付けは同センターの判定に準拠し行われる。
例えば、 助成期間 給与補填
軽度の人 1年 1/3
重度の人 1.5年 1/2
の違いがある。
なお、同センターは手帳そのものの交付は行わない。
b.事業主援助業務
本年7月1日(1.8%実施)後、アドバイスするケースが増えている。
[実施内容]
受入れ制度の紹介
職場適応指導:就労後、定着のためのフォローアップ
障害者の発するSOSのサインのキャッチの仕方
職場内における障害者の配置方法等の指導
雇用管理に関する援助:各種助成
(3) 職業センター業務の流れ
(4) 平成9年度業務実施状況
a.障害者業務実施状況
◎実数 約1200人
◎最近は精神障害者が増加。社会的に認められてきたことが背景。雇用制度も充実。
ただし医師の診断書により安定しているとされた者に限る。
◎その他は手帳非保持者
同センターはどのような障害の人でも対応を行う。
手帳非保持者でも明らかに身体・知的障害を持っていると判断し、職業上の支障と
なると判定した場合には、同センターのサービス(訓練・援助事業等)の対象とす
ることはできる。ただし、同判定により対象となっても、手帳により対象となる
1.8%の雇用義務枠等各種雇用援助制度の対象とはならない。
その他の人の例としては、
障害のレッテルを張られるのがいやで手帳を取得しない人
交通事故等により脳欠損障害を生じ、以前できたことができなくなった人
自閉症、特に高機能自閉症の人。各種神経症の人。
LDの人(判定基準を持っているわけではないので、あくまでもカウンセラー側
の推測による)
b.各事業実施状況
◎その他の人が対象となっているのは、同センターにより上記事業・訓練を受けること
により職業に就くことができると判断されて実施していることによる。
(5) 一定の助成金のみの対象者の存在
手帳は取得できないが、同センターの判定により職業上の障害を有することについての
判定を得た者については、手帳に基づく各種制度の対象(1.8%枠、年金等)とはならな
いが、知的障害者に対し交付される雇用支援のための各種助成金の対象者となるケース
はある。
同センターにおいて 年間 1名程度
通例IQ 80程度(IQ100ではとても対象とならない)