東京LD連絡会提出の要望書に対する都教育庁からの回答(要旨)

1998年2月9日(月) 10:30 〜 11:40


★ 東京LD連絡会提出の要望書に対する都教育庁からの回答(要旨)

 会報「けやき」 #51  からの転載。なお、文責は東京LD連絡会です。

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日時:1998年2月9日(月) 10:30 〜 11:40

場所:都庁第2庁舎10F

都側対応者:学務部 高等教育指導課長、入学選抜係長
      学務部 義務心障課主任指導主事、小中学校係長
         指導部 初等教育指導課長、心障指導課主任指導主事
      総務部 教育情報課長

東京LD連絡会:けやき7人 にんじん村4人 くじら2人 合計13人

0.全体的な説明

都の財政は逼迫しており、新項目は打ち出せず、人員増は不可能な状況。教
育全体の中味は落とせないので、投資的経費を先送りし凌いでいる。ただ児
童数が減少した分重点的に障害教育に振り向けられたという結果にはなって
いる。

1.研修

都教研において、通常学級の担任を対象とした心身障害教育入門研修会を開
催。「学習障害児の理解と指導」という内容を入れている。1998年度も同様
の予定。研修時期は、7月下旬夏休み(今年は7/31午後。74名参加。
うち先生は小9名、中6名、高8名計23名)で半日程度実施。1998年度は
中級編の予定。多摩教研においても同様の研修会を開催する予定。
心身障害教育担当主事連絡協議会等に対し、各区市町村のスクールカウンセ
ラー研修等の中に「学習障害児の理解と指導」に関する内容を盛り込むよう
指導している。

2.パンフレットの発行と配布

95〜96年度2回配布。現在、Q&A形式の新たな指導資料集を作成中で、各
区市町村下の学校・幼稚園に3〜4部づつ配布の予定。配布の際は有効に活
用されるよう心身障害教育担当主事連絡協議会等を通じて指導する。

3.指導書の作成

前述の指導資料集を今年度中に作成、3月末配布予定。「学習障害児の基本
的な理解」「指導事例」「校内体制」「専門機関との連携」などの内容を取
り上げる予定。

4.LDの判定

就学指導委員会は医師、教育職員、児童福祉施設等職員により構成されてい
るので、医師にLD児のみならず幅広い障害の判別に対応してもらっている。
同委員会はLD等の判定ではなく、調査・審議を行う。判断が困難な場合、
区市町村からの要望があれば都のスタッフを派遣し対応することも可能。
LD児の多くは入学後に学習上の困難を示しているので、まず、学校の担任
にさらに校長、教頭などにより各学校で対応できるよう指導している。

5.個別指導計画の導入

今年度講習会を5回開催。参加者の半数が小中の通常学級の担任の先生。
文部省の指定を受け、区の1中学校でLD児の研究をしており、その中で個
別指導計画に基づいた指導を行っている。心身障害教育において新たな指導
法として研究しているが、今後、通常学級で実施する個別指導計画という課題
に取組みたい。

通級における指導の場合は、多くの学級で個別指導計画に基づいた指導が行
われ、区市町村の実情に応じて医師、心理の専門家の指導助言を受けている
状況にあるが、都として医師、心理等の専門家を配置することは困難。

都教委としても個の応じた指導や教科のあり方ということで、各学校に指導
・助言してきた。この個別指導計画の考え方を参考にさらに個の応じた教育
が進められるよう努力していきたい。

6.LDの研究事業

国の研究指定校(世田谷区桜木中)、指導相談事業(三鷹市)を支援しなが
ら研究を広げていきたい。

「LD児等の理解と指導」に関する講習会(2/26午後)を都教研におい
て開催する予定。事例報告と講演という形で取り組んでいきたい。

7.通級指導学級と特別指導教室の設置

設置の申請が上がったら、都教委の担当者が直接訪問し、障害の内容、設置
する学校現場の状況を把握し、協議・検討の後都の認可となる。まず、地域
の教育委員会の方で、保護者の考え方、長期的な状況などを十分認識しない
と設置は困難。

通級学級のない地域に対象となる生徒がいる場合、当該地域と隣接の教育委
員会との連携が図られるよう指導している。

8.学校の選択

小中学校については、規制緩和の動きもあるが、当面法令は変更されないの
で、現法令の範囲で十分弾力的に対応するよう、各教育委に指導している。
地域の教育委の理解を深めていくことが大事と考えている。

養護学校については、1997年4月「あきるの学園養護学校」が開校。全都下
29の養護学校においてすべての知的発達障害の枠があり、一番最寄りの学
校に入学できるようになっている。

9.義務教育終了後の進路

入学の学力検査は、その問題の程度を変えない範囲で、障害に応じて検査方
法、検査時間、会場を変えていくという特別措置が行われる。都立高校にお
いて障害のある志願者のための特別枠は設けていないので、LDについても
枠設定は不可。

1997年4月に青鳥養護学校に職業学科を設置した。これ以上は予算的に無理。
南大沢の卒業生が来年初めてでるので、この実績を踏まえた上で、次の計画
を考えることとなる。軽度知的障害の子どもたちへの教育が、LD児に適し
ているかどうかは親の側で判断し、その上で適しているということならば、
学区を設けていないので、入学相談に応じることが可能。

10.関係機関の連携

都立盲ろう養護学校の進路担当の教員を対象に、4回の進路フォーラムを開
催した。この内容に関係のある福祉局、衛生局、労働経済局の担当者と生徒
の進路等について意見交換してきた。今後もLD児の進路を話題としていき
たい。

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(注意)都教育庁側の回答の要旨を、東京LD連絡会の文責においてまとめ
    たものです。したがいまして、上記は、東京都教育庁の公式的見解
    を示したものではありません。なお、無断転載を禁じます。

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