1999/11/15

都教育庁宛要望書についての回答及び説明会

東京LD連絡会

1999.10.18


■  東京LD連絡会提出都教育庁宛要望書についての回答及び説明会 ■
------------------------------------------------------------------

お断り:東京LD連絡会の文責においてまとめたものであり。都教育委員
    会の公式的見解を示すものではありません。

−−−−−−−−−−−−−−−−

1.日 時:1999年10月18日(月) 13:30〜14:40

2.場 所:都庁第2庁舎 10階206会議室

3.都側出席者:学務部義務教育心身障害教育課心身障害教育担当 1名
             学務部高等学校教育課入学選抜担当 1名
             指導部心身障害教育指導課 2名
             人事部人事計画課定数係担当 1名
         総務部教育情報課 3名

4.東京LD連絡会側出席者:けやき   5名
              くじら   5名
              にんじん村 6名

5.説明、質疑の概要

(1) 指導書の作成、パンフレット等の配布

        指導書としては、平成10年3月「LDって何ですか」(1万部)、平成11年
   3月「LDとADHDの理解と指導」(Q&A)(1万部)を作成、配布し、指導
   の記述の中で行動上の自己調整、対人関係の調整に関する指導についても触れてい
   る。事例を通して直接指導に役立つものとしている。その他、Growing Togetherと
   いうリーフレットをを平成7年と平成8年12月に作成、Part 2は19,000部を公立
      の小中学校、幼稚園、高校等に配布し、理解と啓発に努めている。その他、心身障
   害教育推進室指導主事連絡会においても伝達している。

(2) 研修

        平成10年に都教育研において開催された研修では81名の出席者があった。多
   摩教育研においてもLDの事例研究を実施している。

    平成9年度から一般の教員については、5年目研修の中の履修科目にLDを入れ
   ている。

    区市町村の要望に応じ、都研のスクールカウンセラー上級、中級においてもLD
   児の指導の事例研修を実施している。

    上記主事連絡会において、各学校においても校内研修を行うように指導している。
  
      今後の予定としては、平成12年1月28日都立教育研究所においてLD指導講
   習会を予定している。講習終了後は小中学校の先生の相談会も行う。

(3) 指導者・専門教師の養成

        本年7月の5教科の指導主事全員が集まる指導主事連絡協議会において、LD児
   の理解と指導について検討を行った。

    また年間5回開催している心身障害児教育指導主事連絡会においても毎回その時 
   間を設けて研修している。

    平成4年〜11年にかけて、延べ16,557名がLDの研修を受講している。

(4) 個別指導計画

      小中の心身障害児学級においては、教師間の連携を深めながら、取り組んでいる。
    上述の心身障害指導主事連絡協議会においても検討している。通常学級においての
  導入は今後の課題。また、区市町村の要請によっては、医師や心理の専門家が計画に
  助言することがある。

   個別指導計画は、授業を見に行って専門研究を行っている。平成11年9月に個別
  指導計画の手引き書の改定版を出した。具体的な計画の立て方、保護者の要望の取り
  上げ方等を記述している。4〜5月に計画を立てる際に親と面接しながら話し合って
  いる学校が増えている。

   ITPはアメリカにおける就労への移行サービスとして承知しているが、初等教育
  のIEPが先決の課題であり、ITPは今後の課題。

(5) LDの研究事業

      文部省の研究指定校となった都内中学校で、指導方法のあり方について調査研究を
  行っている。この成果を広く普及し広めていきたい。リソース・ルームについては、
  要請がなく設置の計画はない。

(6) LD児指導相談事業

   文部省の協力者会議の報告にある校内委員会等診断の試案を踏まえて、各区市町村
  にどのように指導事業を入れるか教育庁内で検討している。この結果を見て、事業の
  在り方を考える。

(7) アドバイザリースタッフ派遣

   アドバイザリースタッフは、保護者が校長に頼めば、派遣してもらうことができる。
  まず、校長または教頭にご相談いただきたい。

(8) 義務教育後の進路、通級、連携

   高校入試においてLD児を限定して入学させる枠は設定できない。しかし、試験の
  実施方法については、必要に応じて特別の措置を行うことができる。例えば、

    視覚障害の場合:問題用紙の拡大、ルーペの持込可とする。
  聴覚障害の場合:ヒアリング試験のスピーカーを大きくする。全く聞こえない場合は
          ヒアリングの代替問題を設定。
  車イスの場合:別の教室で受験する。

   このように、障害の状況に合わせて試験方法をアレンジしている。平成12年から
  は高校入学試験実施要綱に基づき、試験実施上必要な措置の申請書を各学校の校長を
  通じて提出することとなっている。最大75分までの試験時間の延長、別室受験、用
  紙の拡大、器具の持込等他の受験者に害のないものを措置できるよう規定している。

     LD児に対しても、申請があれば個々の障害に対応する方針である。

   チャレンジスクールの定数については専門教師を、配置する予定はない。国で選抜
  の特別な枠が制度化されない限り専門教員は定数の関係上配置できない。

   高等養護や養護学校高等部等は、もともと知的障害の、という前提であるため、こ
  れら学校の職業学科については軽度の知的障害の生徒を対象としてる。

   軽度のためのコースが不足していることは、十分認識している。職業科のこれから
  の設置計画については、養護高等部の普通科など養護学校の全体の設置計画を検討す
  る中で、生徒の障害の程度に応じたコース制の検討も含めて、指導部、学務部の研究
  会で検討中である。

   LD児の入学等についてはケースバイケースで入学相談に応じている。

    通級については、区市町村の心身障害教育基本計画に基づき、区市町村が設置の申
  請をして、都がそれを認可する仕組みとなっている。区市町村から学級編成に関する
  ヒアリングを通じて、生徒の動向を見て、必要があれば支援していきたい。

(9) 協力者会議の報告を受けての対応予定

   今回の報告の意図を十分尊重して対応を検討しているところである。

   国のほうでは、協力者会議の報告を受けて現在、国立特殊教育研究所において指導
  相談等に関して研究をしている。この、国立特殊教育研のLDの研究結果を見て、指
  導に取り入れるようにしたい。

      また、都としても専門家チームの設置等については、区市町村との役割分担を整理
  する必要があるため、学務部、指導部、都立教育研究所が中心になり関係各部署での
  全般的な検討と計画をしているところである。

   都からダイレクトに専門家チームを区市町村に送るのは規模が大きすぎて無理があ
  るので、都と区市町村の間に何らかのクッションの役割を果たす組織が必要と考えて
  いる。都からまだ各区市町村に校内委員会を設置するようには通達していない。

     オープン教室を新たに設置するのは教員定数との関係で困難。現行の中でどう対応
  していくかを研究して行く。

   LDやADHDも含めて、○○障害ということになると、今までは、心身障害課の
  担当ということになりがちだが、この問題は、小学校教育指導課、中学校教育指導課、
  高等学校教育指導課等々教育庁全体として取り組まなければならない課題と認識して
  いる。今後計画の作成は、これらの各課が役割分担をして、全庁的にあたっていく。

(10) その他

   LD指導パンフが行き渡っていない実態は初めて聞いた。この点は関係者に伝えて
  いく。

   都庁全体の動きとして、予算は対前年15%カット、人員5,000人の削減が予定され
  ており、教育行政も厳しい状況にある点ご理解いただきたい。

   他局との連携については、定例の連絡協議会が年1回開催されている。その検討事
  項は卒業後の生徒の進路指導に関する情報交換であるが、今後LD児への対応につい
  ても検討事項とする。

前のページにもどる
inserted by FC2 system