東京都教育委員会教育長宛要望書に対する回答

2001年9月17日


1. 期 日 : 2001年9月17日 11:00〜12:00

2. 場 所 : 東京都庁第二庁舎 201会議室

3. 出席者

○ 教育庁

[1] 学務部高等学校教育課 管理係長
[2] 学務部義務教育心身障害教育課 小中学校係長
[3] 人事部人事計画課 定数係長
[4] 指導部心身障害教育指導課 課長
[5] 総務部教育情報課 広聴担当係長

○ 東京LD連絡会

「けやき」;3名 「にんじん村」;4名 「くじら」8名 「パルレ」;2名

4. 回答内容

(1) 研 修

【 要 望-[1] 】

 各学校に対してLD児の理解・啓発及び指導集等の資料を活用した校内研修を行うよう指導してください。また、校内のメンバーの他にLD児を持つ保護者を加えることが、指導される側と、指導する側の共通理解をはかるうえで不可欠なことと思います。

* 配布された資料を有効に活用されていない学校が多いようです

【 回 答-[1] 】;( 回答者;出席者・教育庁[4] )

 各区市町村教育委員会の指導主事が出席する連絡協議会等で研修について指導・助言をしています。

 基本的なこととして、教員に対する研修の実施は区市町村教育委員会の方にあります。東京都としては、全体の流れの中で、特にLDについてはまだ区市町村教育委員会が充分対応できていないところがありますので、そこを担う、あるいは補っていく、関係になっています。研修のことで色々と質問がでていますが、基本的に地方分権の流れからして、研修の実施は区市町村にあることをご理解いただきたいと思います。

 上記のように各小中学校は各区市町村の指導の下にありますので、東京都教育委員会としてはこのことを踏まえて、各区市町村の教育委員会に対しては、それぞれの教育委員会の指導主事が集まる心身障害教育担当指導主事連絡協議会等の連絡協議会で、LDについての研修会企画、校内研修にLD児の理解、指導に関する内容を含めるような指導・助言をするといった形になります。間に必ず、区市町村教育委員会がはいる、このことを最初にご理解いただきたい。それで質問に「校内研修の中に、校内のメンバーの他に、LD児を持つ保護者を加えることが指導される側と、指導する側の共通理解をはかるうえで不可欠なことと思います。」とありますが、その意味、趣旨がよく分かりません。これは校内研修の時にメンバーとして入るというということなのか、お母さん、お父さん方が講師として入るということなのか、この意味の違いが分かりませんでした。あとで趣旨を聞かせていただければと思います。 ( 時間の関係で未回答 )

【 要 望-[2] 】

 区市町村からの要望に応じて、東京都教職員研修センターで実施されている学校教育相談研修のスクールカウンセラー研修では、中級・上級者研修でLD児の指導の実例研修を実践されているとのことですが、この実例研修を初級者研修にも、また要望のあるなしに係わらず実践してください。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[4] )

 初級研修も検討します。

 東京都の教員研修センターで行っている学校教育相談研修は、中級と上級に当たりますので、その中にはLD児の理解と指導の実践研修も行っています。初級については基礎講座の中に学級経営に関する研修があり、その中にLD児の理解と指導を盛り込んでいくことで検討していきたいと思います。

【 要 望-[3] 】

 区市立小、中学校の養護教諭にLD児の理解・指導の研修をしてください。

* LD児の中には、勉強についていけないことや、いじめを受けることなどにより、保健室登校をする子どもたちが多くいます。

【 回 答-[3] 】;( 教育庁[4] )

 各区市町村があたります。

 養護教諭は区市町村の先生ですから、研修は区市町村教育委員会の研修となります。教職員研修センターでは、新規採用教員(新規採用養護教諭)の研修は実施しております。その中で保健室の相談活動の研修内容に、LD児の理解と指導が含まれており、養護教諭としての対応、研修を行っています。

【 要 望-[4] 】

 東京都教職員研修センターでの、小・中学校通常学級の教師対象研修にLD児の理解と指導法に関する内容を導入していただきましたが、通常学級の先生方の参加が少ないようです。できるだけ多くの教師が参加できるように管理職が配慮していただけるよう指導してください。

* LD児の多くは通常の学級に在籍しているにもかかわらず、心身障害教育と思っている管理職や教師がいまだに多いようです。この点が改善されることを願っています。

【 回 答-[4] 】;( 教育庁[4] )

 教員の研修会参加は、授業に差し障りのないよう、各区市町村教育委員会から勧めています。

 基本的に、教員の研修会への参加は、各学校長が研修内容をみながら、その必要性、研修成果が教育に生かせるか、授業などへの支障がないか等の点から判断するわけです。そのために、区市町村教育委員会から各学校の校長先生方に、研修会参加について声がかかればよいと思っておりますので、教育庁としては研修会の開催企画について心身教育担当指導主事連絡協議会や特殊教育部会の方に連絡をしています。

(2) 指導者・専門教師の配置や養成

【 要 望-[1] 】

 LD概論・アセスメント・指導・コンサルテーションの各領域において、専門的な指導ができる通常教育担当の指導主事の養成を早急に行ってください。

* 通常教育の教師に対する専門的な指導のできる指導主事が少数しかおりません。

【 回 答-[1] 】;( 教育庁[4] )

 昨年度、新旧指導主事を対象にLDについて研修をしております。

 指導主事全員が、LD等について基本的な理解をしていただきたいこともあります。昨年度、都教委の指導部の指導主事を対象にして、LD等を含む障害児の指導について研修を実施いたしました。これがひとつ。また、新任の指導主事の任用前の研修において、区市に配属されている指導主事も含めて、心身障害教育全般の研修を実施する中で、LDについてもふれております。またこの7月には、区市町村の全指導主事を対象に、これらの研修会を開催しております。指導主事に対する働きかけをずっと実施してきております。

【 要 望-[2] 】

 心理教育査定や個別指導計画の作成にあたってLD児の認知特性からの専門的アドバイスなど、教師へのコンサルテーションができる学校心理士(スクールサイコロジスト)の配置や養成を早急に行ってください。また、日本教育心理学会で認定されたスクールサイコロジストを区市町村に配置してください。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[2] )

 杉並区の心理の専門家派遣は、効果が上がっています。

 そのまま該当するかどうかは分かりませんが今、杉並区で実践研究を実施している中で、専門家を各学校に派遣することを行っております。これはたいへん効果が上がっています。従いまして、今後もこうした方法で心理学の専門家を各学校に派遣する事業を、杉並区の実践研究の成果を踏まえて実施していきたいと思っております。

【 要 望-[3] 】

 LD児の特性に合わせた、適切な指導ができる教師が少ないので、早急に教師に対して、それぞれの子どものニーズを把握することができるよう研修と指導をしてください。また、LD児に適切な指導ができる専門教師を養成するシステムやネットワークを確立してください。

【 回 答-[3] 】;( 教育庁[4] )

 平成7年度から、幼小中高の先生方を対象に、LD児等の講習会を開催してきております。参加者は延べ1300名を越える数になっており、可成りの数になっております。もう1つは、都の教職員研修センターでキャリアアップ研修を行っており、主題を『LD児等の理解と指導に関する研修』としています。120名の定員で、現在受講者数120名です。これが都レベルで行っているものですが、更に同様のものが区市町村の方で行われることが期待されているわけです。

 昨年度1月にLDの講習会を開催しましたが、延べ400名を越える先生方が参加され、会場が手狭になってしまいました。それだけニーズが高いということから、今年度は12月と1月の2回に分けて、2会場で実施する予定です。場所は立川と目黒を予定しております。

(3) 個別指導計画の導入

【 要 望-[1] 】

 通常学級において、個別指導計画をすすめる研究指定校を設け、早急にLD児の教育に導入できるようにしてください。

* すでに実践をして、成果をあげている学校もあります。

【 回 答-[1] 】;( 教育庁[4] )

 通常学級では、個別指導計画を定めていません。試行の段階、啓発の段階です。

 基本的に学習指導要領において、個別指導計画は通常の学級においては求めていません。ただし、心障学級や情緒障害学級においては、担任が一人一人の子において指導するという現状があります。この他に、心障学級、情緒障害学級の元担任経験者で現在通常学級で教えている方々が作成している例はあります。ただ内容等については、未だ試行の段階であると思います。今年の春に都教育委員会で作成して全教職員に配布したリーフレットでは、個別指導計画について触れてありますが、通常学級における個別指導計画は、未だ啓発の段階だと思います。

【 要 望-[2] 】

 個別指導計画作成の過程で保護者の意見を取りいれるだけではなく、医者や学校心理学者等の専門家がメンバーとして参加できるようにしてください。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[4] )

 メンバーとして入れるか、情報として入れるかは教師が決めることであります。計画作成に医者や学校心理学者等の専門家をメンバーに入れることは求めていません。教育計画はあくまでも教師が作るものです。

 先程も述べましたように、通常の学級では個別指導計画は求められていません。現在、杉並の方でも、この研究は行っていますが、普通、各学校では、個別指導計画を作成する際、専門家がメンバーとして入るものなのか、情報として入れるものなのか、の違いがある訳です。個別指導計画の作成は、学校の指導計画の一部ですから、基本的に教員が作るものです。この点をご理解していただきたいと思います。その時には、保護者の意見を、充分に取り入れるというのは、入ってくるかとは思いますが、計画のメンバーの中に入れるかどうかになりますと、そこまでは指導計画の作成については求めていません。意見を聞くことはあっても、メンバーとしてそこに入ることは求めていないということであります。これは、私どもが教育計画を作ることを他の例として考えると、お医者さんにかかった時、ドクターの処方箋で第3者の意見が入っているかというと、入っていません。教育計画というものは、あくまでも教師がつくるもので、そこが基本にあるからです。

【 要 望-[3] 】

 各LD児の理解の状況に応じて、特に中学校、高等学校では将来の社会的自立を念頭に置き、社会生活を営む上で必要なスキルを身につけられるような個別の移行プログラムを、個別指導計画に位置づけるよう検討してください。

【 回 答-[3] 】;( 教育庁[4] )

 個別的配慮、個別移行プログラムが無く、現時点では困難です。

 小中高等学校では個別指導計画は示されていません。しかし、実際にはそれがあるわけで、進路指導については、個別的な配慮を行ってきており、今の中学校の大きな課題です。このことから、進路指導における個別的配慮、更に中学校、高等学校の個別移行プログラムについての研究的取り組みがないのが、おおきな課題であるわけです。従って、個別指導計画に位置付けることは現実的に困難であります。

(4) 教員の加配

【 要 望-[1] 】

 LD児に適切な指導ができるチームティーチングを増やして、LD児への指導を進めてください。

【 回 答-[1] 】;(教育庁[3] )

 基本となるのは少人数授業の充実です。各学校で教員が連携を取りながら対応しています。

 教員の定数は、今まででも国の改善計画を踏まえて、定数改善を行ってきました。昨年、国の方で、小中学校に対する第7次改善計画を出しました。その主な内容は、少人数授業の充実に対する教職員の配置です。今回もT・Tによる指導をして下さいとの要望ですが、T・Tについては、既に実施していますし、また少人数授業の充実で定数改善もしております。各学校においては、基礎基本となるような形で少人数の教職員が、T・Tの形で入るといことを進めているところです。そうした中でLD児への対応は、こうした教職員が連携をとって改善する形になると思います。

【 要 望-[2] 】

 小学校の通常学級に、担任の他に1人の副担任制を導入してください。

 * 実施を計画している自治体もあります。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[3] )

 改善の方向にあります。少人数授業の充実、T・Tでの対応になります。

(5) LDの研究・相談事業

【 要 望-[1] 】

 オープンルームを設け、その成果をLD児の教育に導入してください。

【 回 答-[1] 】;( 教育庁[4] )

 オープンルームの概念規定がされていません。学校の状況によって違います。

 LD等の報告の中にオープンルームというのがあります。ただオープンルームの概念規定が明確でないことが一つの課題としてあります。国の方で検討した際も、放課後の学力補充の教室といったことを想定したようですが、現在、通常の学級でどこまでできるか。これは学校の状況で違いますが、研究課題であろうと思います。

【 要 望-[2] 】

 杉並区立中瀬中学校や三鷹市の実績を生かして、それをLD児への教育・指導相談並びに保護者やLD児が相談できる体制を充実させてください。

【 回 答-[1] 】;( 教育庁[4] )

 杉並区が研究指導を続けています。

 昨年度に引き続き、杉並区が文部科学省の研究指定を受けながら研究を進めています。特にこの中では、LDの判断基準と、どうしたら地域の中で旨く体制ができるかということを、合わせて研究しているのが現状です。

(6) LD児への教育環境

【 要 望-[1] 】

 30人学級もしくは、学級定員の見直しをしてください。

【 回 答-[1] 】;( 教育庁[2] )

 1学級40人としています。変更する予定はありません。学級というのは、集合としての機能もありますので、40人を勧めています。教科に関しては、小人数を指導します。

 40人/1学級を変更する考えはありません。その理由は、LD児の皆さんへの教育環境の答えになるかどうかはわかりませんが、私どもの考え方としては、学級集団というのは、社会集団としての役割もありますので40人で考えています。学習を進めるにあたっての学習集団は、教科の特異性において指導を少人数で行う考え方です。従って、要望の30人学級、もしくは学級定員の意味が、クラスの編成ということであれば、私どもは変える考えはありません。

【 要 望-[2] 】

 通常学級の授業時やテスト時にLDの特性を踏まえた特別な配慮をしてください

* 例えば、書字障害がある場合、答えがわかっていても、漢字で書かなければ点数にならない状況があります。問題を見るだけでは理解できない場合、文章題を読んでもらえば、答えを導く事ができる子どももいます。計算障害のある場合は、簡単な計算問題を解く時から、電卓の使用で、答えが導けます。

 上記のような配慮が得られない場合、低得点の結果しかでないことが、学習意欲の減退につながります。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[4] )

 基本を中心にするので、指導と評価が問題です。指導と評価の一本化をしていきます。

 「指導と評価の一体化」がこれから進められる研究の全体的な流れになっていくと思います。そこでペーパーテストが出てくるわけですが、LD児についての評価や他の障害のある子についての評価も、ペーパーテストだけでなく、多面的な視点から評価が行われることになります。ただペーパーテスト等における特別な配慮については、例えば、ペーパーテストをしている時、側で問題を読み上げることになりますと、他の生徒と公平性を保つ意味からも、充分な検討が必要と思います。

【 要 望-[3] 】

 すべての公立学校において、障害児との交流会をもつように指導してください。 * 世の中には、色々な人がいることを感じ取ることにより、心の優しさを促すような教育が必要と思います。

【 回 答-[3] 】;( 教育庁[4] )

 交流会は10年来、努力しています。盲、聾、養護と、小中学校の交流会は、数の上で、比例していますので、可能な限り間接的、直接的に行っています。

 都においては、交流教育の充実を掲げていまして、盲、聾、養護学校と小中学校との交流を進めております。また心障学級と通常学級との交流はご存知の通り進めているところでありますが、盲、聾、養護学校と小中学校は学校の設置数が全く異なります。その為になかなか全小中学校と盲、聾、養護学校の交流はできていません。余り頻繁に行っていますと、何時も、盲、聾、養護学校は交流ばかり行っている形になってしまいます。そういった面から可能な限り受け止めながら実施しています。直接交流の形と、間接交流の形がありますが、何れの方向も工夫をしながら実施しているところであります。

【 要 望-[4] 】

 LD児には、体験的学習が不可欠であると考えています。2002年度に導入される「総合的な学習」の中に体験学習を多く取り入れてください。

【 回 答-[4] 】;( 教育庁[4] )

 新指導要領、各教育委員会で体験的学習を盛り込んでいます。

 総合的な学習と兼ね合う今回の学習指導要領では、各教科等においても体験的な学習活動を重視しています。これからはかなり体験的な活動がでてくると思います。更に加えて、総合的な学習の時間、学習活動の展開にあたっての配慮事項として、社会体験、観察実験、見学や調査といったことが示されていますので、これからは多くなります。体験学習を取り入れたものが、実施されると思います。

(7) 義務教育終了後の進路

【 要 望-[1] 】

 チャレンジスクールにLD児を指導できる専門教師を配置してください。

* LD児の高等学校進学に関しては、選択肢が少なく、たとえ入学できても生徒のニーズからはほど遠い環境であることが多く、本人も親も最も苦しむところです。

【 回 答-[1] 】;( 教育庁[3] )

 桐ヶ丘高校など、通常よりかなり教師を多く加配し、多様な生徒を指導できるようにしています。

【 要 望-[2] 】

 南大沢学園養護学校に設置された高等部産業技術科や、青鳥養護学校に設置された都市園芸科のように、LD児にも適した職業教育のコースを全都に設置してください。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[2] )

 予算、人材などを充実していくのは、難しい状況です。

 この件については、従来から様々な要望を頂いておりますが、設置については予算面を中心に様々な問題があり、これを推進するのはなかなか難しいのが現状です。今後、考えて行きたいと思いますが、今直ぐこれについて計画を押し進めることは難しい状況です。いくつか設置できれば良い状況です。LD児のパーセントも把握できていません。杉並区で実施している調査研究をいかし、適切な指導を行っていきたいと思います。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[1] )

 高等学校に設置することは難しい。職業学科を勧めます。

(8) 多くのLD児たちが抱える困難は、生涯にわたるものと考えられています。
 福祉局 衛生局・労働経済局・その他関係諸機関とも充分連携をとられ、適切な教育的援助が得られますようご検討ください。

【 回 答】;( 教育庁[4] )

 既に、教育庁、福祉局、衛生局、労働経済局、産業労働局を含めた連絡会を開催して情報提供をし、医学会を含めた学会の動向も見ながら情報交換を進めているところです。

< 質 問 事 項 >

【 質 問-[1] 】

 2002年度から導入される新指導学習要領において、東京都のLD児に関わる指針をお聞かせください。また習熟度別授業についての指針についてもお聞かせください。

【 回 答-[1] 】;(教育庁[4] )

 通常学級でLDの理解、習熟度別授業について、指針としては別にありません。開発委員会(小学校)で研究中です。

 今回の学習指導要領の改定ですが、小中学校では、そもそもの解説で学習障害児等について示されていません。従って、通常学級における障害のある児童生徒に対する配慮や心身障害教育では、指導教育を充実発展させるということを目標にして行くことにしています。  習熟度別授業ですが、習熟度または少人数学習集団、といった形がありますが、これによって指導、充実を図ることを進めています。特に指針というものは示しておりません。少人数の学習集団の形態の1つとして、習熟度別の指導が効果的であるとしたことについては、都の開発委員会で研究中であります。

【 質 問-[2] 】

 LD児のための専門委員会のモデル事業実施状況と今後の計画についてお聞かせください。

【 回 答-[2] 】;( 教育庁[2] )

 東京都では、国からの委嘱を受けて「LD児等に対する指導方法に関する実践研究」を、平成12、13年度に行っています。概要について簡単に説明しますと、専門委員会を中心にして、医者、学校の先生方、12名を委嘱して、これまで6回会議を開しました。今年度で一応の区切りになりますが、年度内にあと2回会議を開催し、報告書をとりまとめる予定になっております。

 この実践研究は、杉並区にお願いしていますが、今後、文部科学省では、平成14年度にも、規模、内容等については未だコメントはありませんが、類似の依託を行うとの感触を受けています。これは平成12、13年度は、全国の内、一部の地域を先行して実施したということで、平成13年、14年度で残りの地域を実施するようで、その際には先行した地域は14年度も引き続き実施するとのことのようです。まだ具体的に文部科学省から、詳細について聞いてはいませんが、そのような場合には是非続けて実施したいと思っています。

 文部科学省の動きとは別に、都独自としては、指導部からも説明がありましたように、基本的に小中学校であれば、設置者である区市町村教育委員会が本来、主体的に進めるべき事柄であります。この部分においては私達(学務部)も同じであります。ただ杉並区で実施した内容、実践研究の成果、又、これまでの色々なLD児に関する教育的効果が、直ぐそのまま区市町村におりて、区市町村が活動できるかと申しますと、やや時間が掛かるのではないかと思っております。そこで設置者である区市町村が実施をするのが大前提ではありますが、東京都としては幾つかの手助けができないかを検討しています。杉並区だけで終了するのか、他の方法があるのか色々検討していますが、何分、整理事項、予算面もありますので、今、具体的には申し上げられませんが、私どもとしては次に繋げる用意があるということです。

【 質 問-[3] 】

 管理職を対象としたLDに関わる研修の実施状況と13年度の予定をお聞かせください。

【 回 答-[3] 】;(教育庁[4] )

 区市町村では研修を行います。指導主事の連絡会では、LDの重要性を求めて行きます。

 管理職の研修も区市町村教育委員会の管轄です。研修は東京都と区市で実施されていますが、LDについては区市レベルになります。現在、区市の管理職研修の中にLD研修を入れているかどうかについては把握していませんが、指導主事連絡会では、LD児の研修の重要性に触れており、これを受けて各区市において、管理職研修の中にLD研修が盛り込まれていると考えています。

【 質 問-[4] 】

 ティームテーチャーには、どのような先生がなれるのですか、また、実施状況をお聞かせください。

【 回 答[4] 】;( 教育庁[4] )

 複数のタイプがあります。[1] その学校の先生。[2] 地域の方が参加する。資格は定めていません。各学校の決済事項です。

 複数教員等による授業が考えられる訳ですが、定義はその学校に配置されている場合と、地域の方をお呼びしてその授業のなかで話していただく。例えば地域のおじいちゃん、おばあちゃんにきていただき、その地域の昔話をしていただく場合もあります。これについては、特に資格といったものは定められていません。各学校の決済事項です。

【 質 問-[5] 】

 通常教育と特殊教育の先生方は相互の授業参観を行っていますか。

【 回 答[5] 】;( 教育庁[4] )

 心身障害児学級がある学校では可能ですが、その他は授業に支障の無い範囲で、授業参観をしています。

 小中学校においては、心障学級をおいている場合は非常に実施しやすい。ただ養護学校と通常の学級ではお互いに授業参観を行っていると、片一方はどうなるかという問題が必ず生じてきます。その中で可能な限り、相互の授業参観をしているのが現状です。

【 質 問-[6] 】

 アドバイザリースタッフは、保護者が校長先生に要請すれば、派遣が可能になるとのことですが、実際の実施状況をお聞かせください。また、LD児についての派遣の状況についてもお聞かせください。

【 回 答[6] 】;( 教育庁[4] )

 派遣回数は1700件です。(三宅島の子ども達を対象、教育問題141件、LDだけをとりだした調査ではありません。)

 基本的に、いじめや不登校の問題等の解決のために、学校の要請において派遣をしています。昨年度の派遣件数は1700件。非常に多かったのですが、三宅島の子ども達が一斉に都立秋川高校に避難しまして、その子ども達の精神状態が不安定であるとのことで派遣件数が増えています。派遣の理由としては事例研究会に対する都への要請が50件、教員、保護者、子どもへの個別的な助言が141件あります。その中にLD等への対応も含まれていると思います。LDだけとりだした件数調査にはなっていません。

【 質 問-[6] 】

 学校評議員制度が導入されるにあたり、LD児等の保護者が評議委員のメンバーに加えられるよう指導する予定はありますか。

【 回 答[6] 】;( 教育庁[4] )

 学識経験者や保護者、ただしLDの保護者という枠を限定するのは難しい。

 各学校における学校の連絡協議会は、各区市町村教育委員会の指導のもとに、各学校長の推薦で行うものです。ここに委員として学識経験者や保護者が含まれる形で、概括的に示され委嘱されています。こうしたことから、ここにLD児の保護者等という枠を設けることは難しい。

( 一般質問 )

【 質 問-[1] 】

 通級学級での指導で、未設置学区には、どのように対応するか。

【 回 答-[1] 】

 各自治体が行う。都教育委員会が指導する方向はありません。

( 親の会代表 )

[1] 地方分権化の流れの中で、研修等の実施は区市町村の管轄であり、都としては指導・助言しかできないとのことであるが、そうであれば区市町村がきちんと実施するよう指導・助言を強化していただきたい。

[2] これまで都が作成されたリーフレットには感謝をしていますが、せっかくの物が現場の先生方には必ずしも行き渡っておらず、何処かに閉塞感を感じます。校長会や、指導主事連絡会当たりの確認をお願いいたします。

[3] LD児の多くは普通学級で学んでいますが、現在、行政的には特殊教育課が窓口となっており、LDは特殊教育の問題であると認識している通常学級の先生方が多くいます。通常学級での配慮指導等、行政的な窓口も含め通常学級の問題であることの認識を関係者に広めていただきたい。

[4] 東京都は、これまで国に先駆け独自性を持って取り組んできていただいた。今後も引き続き同じ姿勢でLDについての取り組みを進めていただきたい。

以上

(文責 東京LD連絡会)

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